日本の夏の風物詩と言っても過言ではない「台風」ですが、この時期に天気予報などを見ていて疑問に思うことはありませんか?
天気図を見ていると太平洋の海上で発生した台風は見事に北西の位置にある日本めがけて向かってきます。
そして沖縄から九州、本州、北海道と嫌がらせのように日本列島を綺麗になぞっていくことも少なくありません。
なぜ台風は日本に向かって来るのか。
なぜ台風は日本列島をなぞるように曲がった進路をとるのか。
今回はこれらの疑問に着目してその理由を解説していきたいと思います。
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なぜ台風は日本に向かって移動してくる?
風の流れがちょうど日本に向かっているため
まずなぜ台風が日本に向かってくるのかという疑問について、わかりやすく解説するために図を作ってみました。
まず、台風自体は自力ではほとんど動けません。
渦を巻いているだけで、勢力の強い台風でも地球の自転の影響でゆっくり北上する程度です。
では台風はどのようにして移動しているかというと、周りの風によって動かされているんですね。
上の図も参考にしていただきたいのですが、台風が日本に向かってくる要因としては主に以下の3つがあります。
- 太平洋で発生した台風は対流(温められた気体が上昇して周りの温度の低い気体が流れ込むのを繰り返す現象のこと)の影響で北向きに流される
- 貿易風(赤道付近を東から西に吹く風)によって西向きにも流される
- 太平洋高気圧の空気の流れ(高気圧は内から外へ時計回りに空気が流れている)にも流される
これら3つの要因によって台風は日本のはるか南東の沖から北西、つまり日本に向かってやってくるのです。
台風は日本列島に沿って曲がる理由とは?
ポイントは偏西風と太平洋高気圧
日本に向かってきた台風が、次に日本列島に沿って曲がってくるのはなぜでしょうか。
再度こちらの図をご覧ください。
前項の「なぜ台風は日本に向かってくるのか」で解説したとおり、貿易風と太平洋高気圧の時計回りの風に流されて台風は日本にやってきます。
そして台風が沖縄に近づくと次は、ユーラシア大陸から吹く偏西風に押し戻される形になります。
太平洋高気圧の時計回りの風と偏西風の影響によって、沖縄付近から日本に侵入した台風は九州→近畿地方→関東地方→東北地方→北海道というように列島をなぞるような進路をとるわけですね。
まとめると、
- 太平洋で発生した台風は太平洋高気圧の時計回りの風と、西から東に吹く貿易風によって北西に向かう
- 日本付近に差し掛かると偏西風に押し戻されつつ、太平洋高気圧の時計回りの風を受けて北東に向かう
- その結果台風は、南から北まで日本列島に沿うように移動していく
このような流れになりますね。
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台風が日本に曲がってくる理由まとめ
台風が日本に向かってやってきて、日本列島に沿って曲がっていくメカニズムはおわかりいただけましたでしょうか。
実は台風は夏だけでなく1年中発生しているのですが、台風の発生する緯度が夏より低いのと、太平洋高気圧が日本から遠ざかるため、日本に接近していくる台風はほぼありません。
7月から8月にかけては太平洋高気圧の勢力が強くなるため、台風が日本に来る確率が高くなるというわけです。
また9月や10月に来る台風は、偏西風の南下によって足が速まり、勢力が弱まる前に日本を通過するため被害が大きくなる可能性が高まります。
思わぬ被害を被ることもありますので、備蓄を蓄えたり、ラジオを用意するなど最低限の備えを忘れないようにしましょう。
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