12月19日、大阪府寝屋川市で当時中学1年生の男女2人が遺体で見つかった「寝屋川市中1男女殺害事件」の裁判員裁判が行われ、大阪地裁は殺人罪に問われていた山田浩二被告(48)に求刑通りの死刑を言い渡しました。
近年は死刑制度反対のムードも漂う中で、大阪地裁は毅然とした判決を言い渡しましたね。
裁判を傍聴していた方によると、判決は「主文後回し」にて言い渡されたとのことです。
「主文後回し」・・・?
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、今回は寝屋川事件の概要と「主文後回し」についてわかりやすく解説していきます。
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寝屋川市中1男女殺害事件とは?
まずは「寝屋川市中1男女殺害事件」について振り返っておきましょう。
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2015年8月12日、大阪府寝屋川市の中学1年生である星野凌斗君(12)と平田奈津美さん(13)が行方不明となりました。
翌13日の早朝に寝屋川市駅前のアーケードを歩く2人の姿を防犯カメラが捉えていましたが、それを最後に足取りが途絶えます。
またこのとき、近くを山田浩二被告(当時45歳)の軽ワゴン車が走っていたのを防犯カメラが捉えていました。
同日夜、高槻市の駐車場で、粘着テープで縛られた上に30ヶ所以上もの切り傷を負った平田さんの遺体が見つかります。
遺体発見の直前まで近くに停車していた不審な車があり、捜査本部はその所有者が山田被告であると特定します。
8月21日未明、警察は大阪市北区で山田被告の車を発見して追跡を開始し、山田被告が数分だけ立ち寄った柏原市の竹林を捜査員が捜索したところ、星野君の遺体を発見します。
同日夜に山田被告を死体遺棄の容疑で逮捕しました。
逮捕後、山田被告が黙秘を続けたことや直接証拠が得られないことから、殺害場所や殺害方法などが明らかになりませんでしたが、防犯カメラの映像や聞き取りから容疑者は山田被告以外にありえないとして、検察は山田被告を起訴しました。
弁護側は「平田さん死亡時は発達障害の影響で混乱しており、心神耗弱状態だった」「被告に発達障害があり、犯行時は責任能力が著しく低下した心神耗弱状態にあった」などと減刑を求めていましたが、検察側は「完全責任能力があった」と主張します。
大阪地裁は弁護側の主張を退けて、平田さん、星野君のいずれも山田被告が殺害したと断定し、死刑を言い渡しました。
<Wikipediaや各種報道から引用・編集>
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「主文後回し」とは?
今回、裁判長が山田浩二被告に「主文後回し」にて死刑を言い渡しました。
この「主文後回し」とは、結論である”主文”を後回しにし、判決に至った”理由”を先に述べるというものです。
「主文」とは、「被告人を懲役○年に処する」などといった判決文のうち結論を示す部分のことで、通常はこの「主文」を述べたあとにその「理由」が言い渡されるのですが、重大な事件の裁判においてはときどき主文が後回しにされ、先に理由が述べられることがあります。
これは死刑などの重い判決主文を先に言い渡してしまうと被告人が動揺してしまい、その後に続く判決理由を聞けるような状態ではなくなってしまうためという、「被告人に対する配慮」という側面があるようです。
通常通り言い渡すか、主文後回しで言い渡すかは裁判官の判断に委ねられています。
先に判決理由が述べられた場合は「死刑判決の可能性が高い」とされていますが、最近では無期懲役の場合も主文後回しで言い渡されることがあるようです。
ちなみに主文と判決理由の順序が逆になることには問題ありませんが、判決には必ず理由をつけなければならないと刑事訴訟法で定められています。
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まとめ
以上、寝屋川事件の死刑判決と事件概要、「主文後回し」などについてまとめました。
まだ地裁での死刑判決なので、この後被告側から控訴されれば覆る可能性はありますから、もしかしたらまだ目の離せない裁判になるかもしれません。
※事件概要などについて細心の注意と配慮をして書き綴っていますが、もし不適切な表現などありましたら「お問い合わせ」よりご連絡いただければと思います。
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