2019年10月6日に発生した台風19号「ハギビス」が、このまま発達していくと中心気圧が900hPaに達する可能性もあるとして話題になっています。
現時点でも中心気圧915hPa、最大風速は55m/s、最大瞬間風速は75m/sと猛烈な勢力で日本に近づいています。
このまま発達すれば今年発生した中では最大勢力の台風となるとのことですが、実は今年どころではなく歴代に発生した中でも最大の台風にランクインするレベルの台風になる可能性があります。
台風の勢力の強さを測る目安として中心気圧(hPa:ヘクトパスカル)がありますが、今回の台風19号の「中心気圧915hPa」はいったいどれくらい強力なものなのかを解説していきます。
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台風の定義とは?hPaって何?
台風の定義は最大風速に準拠する
まず「台風」の定義を確認しておきましょう。
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。
<気象庁HPより引用>
ちょっとややこしいですが、ざっくり言うと「日本から見て南東の海上で発生した、最大風速17m/s以上の低気圧」を台風と呼ぶようですね。
ヘクトパスカル(hPa)とは?
ヘクトパスカル(hPa)は「気圧の単位」のことで、ヘクト(h)パスカル(Pa)と分解できます。
h(ヘクト)は「100倍」、Pa(パスカル)は気圧や圧力の概念を確立したブレーズ・パスカルという科学者の名前から取られた「気圧の単位」のことです。
なのでhPaは「Paの100倍」という単位になります。
聞き慣れない単位なのでわかりにくいですが、私たちがよく使うキロメートル(km)などもメートル(m)という長さの単位に1000倍を表すキロ(k)がついたものですから、「長さの単位」が「気圧の単位」になっただけと捉えればOKです。
そして空気は気圧の高いところから低いところに流れていき、この高低差が大きいほど風力は強くなるため、このヘクトパスカルの値が低ければ低いほど強力な台風となります。
日本周辺の平均気圧は約1013hPaで、通常の台風は1000hPa~950hPaあたりで日本に上陸してきます。
日本上陸の際にはやや勢力が弱まるのが普通ですが、今回の台風19号が915hPaのまま日本に上陸するとなると弱まる傾向があるとはいえ脅威ですね…。
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台風19号の「915hPa」はどのくらい強力?
もし915hPaで日本上陸すると伊勢湾台風よりも強力
さて台風19号の「中心気圧915hPa」とはどれくらい強力なのでしょうか。
1951年~2019年までに発生し、日本に上陸した台風の中でも最も中心気圧の低かった台風の上位5位を記した表がありましたので転載します。
日本の台風史上、最も多くの犠牲者を出した1959年の「伊勢湾台風」は表の2番目に記されていますね。
約70年前に発生した台風で、今よりも災害に対する設備や意識が乏しかったこともあり、犠牲者5,098人(死者4,697人、行方不明者401人)、負傷者3万8,921人という甚大な被害を出しました。
災害対策について定めた災害対策基本法は、この伊勢湾台風を教訓として成立したという経緯があるほど、日本経済的にも大打撃を被った台風でした。
ただ、この伊勢湾台風でさえも日本上陸時の気圧は「929hPa」です。
となると915hPaがいかに強力な台風であるかが少しわかっていただけたと思います。
具体的に915hPaはどのような被害が出るのか
915hPaは気圧の単位であって台風の威力そのものを表す指標としてはわかりづらいので、実際の被害に影響しそうな「風速」に注目してみることにします。
今回の台風19号で観測されている「最大風速55m/s」で考えてみましょう。
実際に風速50m/sの台風に襲われた沖縄の動画がありましたので掲載します。
また風速50m/sで傘が飛んできた場合のシミュレーションをした動画もありました。
ガラス窓を容易に突き破っています…。
実際家の中にいても人が亡くなったこともあるそうです。恐ろしいですよね。
風速50m/sだと他にも、
- 瓦屋根の瓦なども吹き飛ばされる
- 電柱や街灯などが倒される
- 樹木が倒れる
- 車が横転する
- ブロック塀が倒壊する
などの被害が出る可能性が高く、絶対に外に出てはいけません。
台風19号は連休に差し掛かる可能性が高いと言われていますが、もしそうなった場合は勢力の大小に関わらず、おとなしく自宅待機しておきましょう。
また電気やガスが止まる可能性も大いにありますので、最低限の備えもしておいたほうが良さそうですね。
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